2024/12/24
『肌の漂白剤』とも言われる「ハイドロキノン」。正しい使い方を解説
最終更新日 2024/12/24
シミにお悩みの方なら、「ハイドロキノン」という名前を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。美白作用があり、『肌の漂白剤』とも呼ばれることもありますが、刺激の強さや副作用のリスクなどが気になり、使うことを躊躇している方がいるかもしれません。そこで、今回は「ハイドロキノン」の働きや正しい使い方を解説します。
「ハイドロキノン」ってどんな成分?
ハイドロキノンは、麦芽やコーヒー、いちごなどの植物や、節足動物に存在する天然の化合物です。意外かもしれませんが、美白作用が発見されるきっかけは、写真の現像液と言われています。現像液にハイドロキノンが含まれていて、その作業をしている人の手が白くなったことが、美白作用発見のきっかけ、と言われているのです。
高い美白作用から注目されることとなったハイドロキノンですが、日本では以前は医師の管理下でしか使えない成分で、化粧品にも配合されていませんでした。それが、2001年の旧・薬事法(現・薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の改正により規制が緩和されたことで、化粧品成分として配合できるようになりました。最近では、肌の状態を整える整肌成分として様々な化粧品に配合されています。
ハイドロキノンの美白作用
ハイドロキノンの美白作用を知るために、シミが作られる仕組みを簡単にご紹介します。
肌は、外側から表皮、真皮、皮下組織という3つの層が重なってできています。紫外線などの影響を受けると、表皮に存在するメラノサイトが活性化します。すると、「チロシナーゼ」という酵素が、メラノサイト内の「チロシン」という物質を変化させ、最終的に黒色のメラニンが作られます。黒色のメラニンが、排出されずに肌に沈着してできるのが、シミです。
美白作用のある成分は複数あり、種類によってシミへのアプローチ方法が異なります。ハイドロキノンの場合は、主に次の3つの方法でシミにアプローチします。
チロシナーゼの働きを阻害する作用
ハイドロキノンには、チロシナーゼの作用を抑えてメラニンが作られるのを阻害する働きがあります。これにより、シミをできにくくします。
還元作用
ハイドロキノンには強い還元作用があります。還元作用とは、酸化したものから酸素を取り除く作用です。ハイドロキノンの還元作用が働くと、すでに作られた黒色のメラニンを無色化するため、シミを薄く目立たなくすることができます。
メラノサイトを減らす作用
ハイドロキノンにはメラノサイト自体を減らす働きもあります。メラノサイトが減ると、メラニンの生成に時間がかかるようになるため、将来のシミのリスクを減らすことができます。
※美白のしくみについては、こちらの記事で解説しております。
他の美白成分の作用についてはこちらの記事で解説します。ぜひご覧ください。
ハイドロキノンのリスクと正しい使い方
ハイドロキノンは、美白成分として国内でも20年以上使われている成分です。そのため、一定の安全性は担保されていますが、特に高濃度のものは副作用のリスクが伴います。また、使い方や保管方法を誤ると、思わぬトラブルに見舞われる可能性もあります。そこで、ハイドロキノンの正しい使い方を確認しておきましょう。
1日1回夜に使用し、日中は紫外線対策を徹底する
ハイドロキノンは、紫外線に当たると色素沈着を起こしやすくなってシミが悪化する可能性があります。また、肌に炎症が起こるリスクも高くなるため、基本的に1日1回、夜のスキンケアに使用することが推奨されています。また、日中は日焼け止めクリームなどを使い、紫外線対策をしっかり行うことも重要です。レーザー治療や光治療の後の炎症後色素沈着予防に使用する場合は、医師の指導に従ってご使用ください。
副作用が出たら使用を中止する
配合濃度が高くなると、赤みや炎症などの副作用が伴うことがあります。クリニックで勧められた製品などで症状が出た場合には、使用をやめて医師に相談しましょう。化粧品には複数の成分が含まれているため、どの成分が原因で症状が出たのかがわかりにくいのですが、ハイドロキノン配合の化粧品を使うたびにトラブルが出るような場合は、肌に合わない可能性があります。こうした症状を最小限に抑えるためには、パッチテストがおすすめです。顔に使う前に腕の内側などに少量塗ってみて、赤みやかぶれがないか確認すると良いでしょう。
なお、ハイドロキノンには、高濃度のものを長期間続けることで、白斑(肌が白く色抜けする)を生じるリスクがあります。一般的に5%程度のハイドロキノンでは白斑の報告はない、とされていますが(※)、長期間使っても改善されない場合には、使用を継続するべきかどうかも含めて、皮膚科などで相談してみましょう。
※参考:日本皮膚科学会「ロドデノール誘発性脱色素斑 医療者(皮膚科医)向けの診療の手引き」https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2013/134041/201328050A/201328050A0014.pdf
冷暗所で保管する
ハイドロキノンは酸化と光の影響を受けやすいため、これらの影響が少ない冷蔵庫での保管が推奨されています。保管時にはしっかりと密閉されていることを確認してください。また、経時変化も起こりやすく、開封後しばらく経つと劣化が進むため、1~1.5ヶ月ほどで使い切るようにしましょう。保管状態によっては、開封後1.5ヶ月未満でも劣化してしまう可能性があります。変色している時は使用を控えましょう。
ハイドロキノン配合化粧品は医療機関で購入するのがおすすめ
ハイドロキノンは、市販の化粧品にも配合されているため、手軽に購入することができます。しかし、ハイドロキノンには副作用のリスクがあり、また、シミの状態によってはレーザー治療の必要性があるケースもあります。こうした点を踏まえると、まずは医療機関に相談するほうが安心です。症状や肌の状態に合わせて、ベストな対処法を提案してもらえるでしょう。
また、一部の美容皮膚科などでは、クリニック専売のハイドロキノン配合化粧品を取り扱っています。刺激性と有効性のバランスが良いとされる、4%程度のハイドロキノンが含まれている化粧品が販売されていることもあるため、興味のある方は取り扱いのある皮膚科に相談してみてください。クリニック専売の化粧品を購入するためには、通院が必要ですが、ハイドロキノンを効果的にスキンケアに取り入れてみたい方にはおすすめです。
今回はハイドロキノンの美白作用や、正しい使い方を解説しました。ハイドロキノンは効果の高い美白作用として注目されていますが、リスクもあるため、正しく使うことが重要です。シミに悩んでいる方や美白ケアをしたい方は、肌に合うハイドロキノンを上手に取り入れてみてくださいね。
まとめ
- ハイドロキノンにはシミの原因となるメラニン生成を抑制する作用、できてしまったメラニンを無色化する作用、メラノサイトを減らして将来のシミリスクを軽減する作用がある
- ハイドロキノンは濃度が高いほど効果は強いが、リスクも増えるため、適切な濃度を選ぶことが重要
- 紫外線により症状が悪化したり炎症が起こる可能性もあるため、夜に1日1回使用し、日中は紫外線対策を徹底すること
- 副作用が出た場合は使用を中止し、医師に相談する
- 酸化や光の影響を避けるため、冷暗所(冷蔵庫)で保管し、開封後は早めに使い切る
- クリニック専売のハイドロキノン配合化粧品もある