2025/04/25

肌のバリア機能が低下する原因とスキンケアのポイント

肌のバリア機能が低下する原因とスキンケアのポイント

最終更新日 2025/04/25

健やかで美しい肌の要(かなめ)とも言える肌のバリア機能。バリア機能が低下すると、さまざまな肌トラブルが起きやすくなってしまいます。では、肌のバリア機能が低下してしまったら、どうすればよいのでしょうか。今回は、肌のバリア機能が低下する原因や気をつけたいサイン、回復させるために気をつけたいポイントなどを詳しく解説します。
 

「肌のバリア機能が低下する」とは

バリア機能とは、外部の刺激から肌を守る働きのことです。肌にもともと備わっている機能で、潤いをキープしたり、紫外線やアレルゲン(花粉など)といった外部の刺激から肌を守る役割があります。バリア機能が正常に働いている肌は、トラブルが起こりにくく、水分をしっかり保持しているため、キメが整い、美しい状態を保つことができます。
そんなバリア機能を担っているのは、表皮の角層です。表皮は、3層構造(表皮、真皮、皮下組織)をしている肌のもっとも外側にある層です。表皮はさらに4層に分けられ、その一番外側の層が角層です。角層は、次の3つのしくみで、バリア機能を形成しています。
 

皮脂膜

皮脂と、汗などの水分が混ざり合ってできた膜で、表皮を覆っています。必要な水分が逃げてしまうのを防ぐとともに、外部の刺激から肌を守ります。また、弱酸性であることから、悪い菌の繁殖を抑えたり、化学物質を中和したりする働きもあります。
 

細胞間脂質

角層の細胞(角質細胞)と細胞の間を埋める脂質のことで、「セラミド」「コレステロール」「脂肪酸」によって構成されています。角質細胞と細胞間脂質は、規則正しく何層も重なることで、水分を保持しています。
 

天然保湿因子(NMF)

角質細胞内のアミノ酸や尿素などのことで、皮膚に存在する保湿成分です。
 
これらのいずれかに異常が起こると、バリア機能は低下し、乾燥しやすくなったり、肌トラブルが起きやすくなったりします。
バリア機能
 
では、バリア機能が低下すると具体的にどのような変化が起こるのでしょうか。
 

こんな症状は肌のバリア機能が低下しているサインかも

以下のような症状がみられる場合は、バリア機能が低下している可能性があります。
 

かさつき、キメの乱れ

バリア機能が低下すると、角層の水分保持機能が低下し、乾燥しやすくなります。かさつきや粉吹きが気になる、肌表面のキメが乱れて化粧ノリが悪くなる、細かいしわが目立つ、などは、バリア機能が低下しているサインと言えます。
 

毛穴トラブル、ニキビ

バリア機能の低下によって肌が乾燥すると、水分を守るために皮脂が過剰に分泌することがあります。過剰に増えた皮脂が毛穴に詰まると、毛穴の開きやニキビなどのトラブルを引き起こします。
 

赤み、痛み、かゆみ

バリア機能が低下した状態を放っておくと、肌の内部にアレルゲンや細菌、紫外線などが侵入しやすくなります。すると、肌に炎症が起き、赤み、ヒリヒリとした痛み、かゆみ、湿疹などを引き起こすことがあります。いつも使っているスキンケア製品や化粧品でも刺激になることがあり、セルフケアのみでは改善しない可能性もあるため、皮膚科への受診を検討しましょう。
 
このような症状が続いている場合は、バリア機能が低下しているサインかもしれません。普段のスキンケアを見直してみましょう。皮膚科を受診するのもひとつの方法です。
 

肌のバリア機能が低下する原因とは

肌のバリア機能が低下する原因として、次のことが考えられます。
 

間違ったスキンケア

普段のスキンケア方法が間違っていると、バリア機能を低下させてしまう可能性があります。たとえば、次のようなケアは要注意です。
 

  • 洗顔を必要以上に何度もしている
  • 熱いお湯で洗顔をしている(皮脂を取りすぎる原因になるため)
  • 洗顔やクレンジング時にゴシゴシと強い力を入れすぎている
  • 保湿ケアが十分ではない
  • 化粧品やスキンケア製品が肌に合っていない
  • 紫外線対策が不十分

 
このようなスキンケア方法は、肌のバリア機能を壊す要因になるため注意が必要です。
 

加齢

年齢を重ね、「ターンオーバー」のサイクルが乱れると、角層の細胞や細胞間脂質、天然保湿因子が減少します。また、皮脂量も減ります。これらの変化はバリア機能の低下を引き起こします。
 

外的要因

空気の乾燥や紫外線などの外的な要因も、バリア機能に大きく影響します。特に秋や冬になって空気が乾燥すると、肌の水分も蒸発しやすくなり、皮脂膜が薄くなってバリア機能は低下します。また、紫外線のダメージで皮脂が酸化し、バリア機能を弱めてしまうことがあります。
 

美容医療による影響

レーザー治療などの施術後に、一時的にバリア機能が低下することもあります。
 
以上のことからもわかるように、バリア機能はちょっとした習慣の積み重ねなどで低下してしまうものです。加齢などは誰もが避けて通れないものですが、スキンケアや生活習慣に気をつけることで、バリア機能を回復させることはできるかもしれません。
 

肌のバリア機能を低下させないために気をつけたいスキンケアのポイント

「バリア機能が落ちているかも」と思ったら、スキンケアを見直してみましょう。特に次の点を意識してみましょう。
 

洗顔は優しくおこなう

ゴシゴシ洗うとバリア機能が低下してしまいます。洗顔料はよく泡立てて、こすらずに優しく洗顔しましょう。ぬるま湯を使うこともポイントです。
 
※正しい洗顔方法はこちらの記事でご紹介しています。
 

刺激の低いアイテムを選ぶ

バリア機能が低下している時には、普段使っているスキンケア製品や化粧品が刺激になることがあります。アルコールや香料が少ない、低刺激性のスキンケア製品を使用しましょう。
 

保湿を徹底する

バリア機能が低下した肌は、水分が不足しているため、いつも以上に保湿ケアをしっかり行うことが重要です。セラミドや保湿力の高いアミノ酸などが配合された製品などで、角層の水分保持をサポートしましょう。また、部屋が乾燥している時は、加湿器を活用するなどして湿度を保つようにしましょう。
 

紫外線対策を徹底する

バリア機能が低下していると、紫外線の影響を受けやすくなります。刺激が低い日焼け止め(ノンケミカル製品など)を使って、紫外線から肌を守りましょう。
 
特にレーザー治療後などは保湿ケアと紫外線対策を意識して取り組みましょう。
 

炎症が起きている場合は皮膚科を受診する

赤みや痛み、かゆみが続いている場合は、セルフケアだけでなく、皮膚科を受診して適切な治療を受けましょう。専門医に相談することで、症状の悪化を防ぎ、早期回復を目指せます。
 
健やかで美しい肌には、バリア機能が欠かせません。ご紹介したポイントを参考に、自分の肌に合ったケアを行い、美しい肌を取り戻しましょう。
 
うるおいのある肌

まとめ

  • 肌のバリア機能は、外部の刺激から肌を守り、潤いを保つ役割を果たすもので、角層の皮脂膜、細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)によって構成されている
  • バリア機能が低下すると、乾燥、キメの乱れ、小じわ、毛穴トラブル、ニキビ、赤みや痛み、かゆみなどの肌トラブルが発生しやすくなる
  • バリア機能が低下する原因に、間違ったスキンケア、加齢、外的要因(乾燥や紫外線)、美容医療の施術後などが挙げられる
  • バリア機能を回復させるためのポイントに、正しい洗顔、低刺激のスキンケア製品の使用、保湿ケアの徹底、紫外線対策、乾燥対策などが挙げられる
  • バリア機能低下による炎症や肌トラブルが続く場合は、セルフケアだけに頼らず、皮膚科を受診して適切な治療を受ける
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