2022/12/19

目元を清潔に!マスク生活の今だからこそ正しい目元ケアを
~眼科医 藤岡 聖子先生インタビュー~

目元を清潔に!マスク生活の今だからこそ正しい目元ケアを<br>~眼科医 藤岡  聖子先生インタビュー~

最終更新日 2022/12/19

マスクをするようになって、目元ケアやアイメイクに力を入れるようになった、という方は多いかもしれません。まつ毛ケアとして、まつ毛エクステやまつ毛パーマなども人気ですが、実は行き過ぎたケアが思わぬトラブルを招くことがあります。そこで今回は、<医療法人秀真会 藤岡眼科 副院長の藤岡聖子先生>にお話をお伺いしながら、マスク生活の今だからこそ知っておきたい正しいまつ毛ケアについてご紹介します。
 

まつ毛と目の周りについて

はじめに、まつ毛について簡単におさらいしておきましょう。
上下のまぶたに生えるまつ毛には、ほこりなどの異物の侵入を防いだり、日光など強い光から目を守ったりする重要な役割があります。
 
昨今はマスクをする機会が大幅に増え、目元が顔の印象を大きく左右するようになってきました。そういった背景から、アイメイクに力を入れるようになった方が多いかもしれません。しかし、目元は大変デリケートな部分なので行き過ぎたアイメイクやお手入れは禁物です。
目の下の皮膚は、厚さ0.5mm位と極めて薄く、ゆで卵の薄皮程度しかないのでクマができやすく、睡眠不足・日焼け・クレンジングによる摩擦・マッサージによるたるみ・加齢によるたるみなどがクマの原因となります。クマができると、見た目年齢があがってしまいます。加齢によるたるみは仕方ないとしても、若い頃から濃いメイクを落とすためにクレンジングで擦ったり目の周りをマッサージするのは、どんどんクマをつくる行為です。
 

最近のまつ毛ケア事情

昨今、マスク生活が長引いている影響もあって、メイクをする頻度やメイク方法に変化がみられています。とくにマスクで覆われている部分はメイクにあまり力を入れずに、眉毛や目元のメイクに力を入れるようになった人が増えていることが、複数のアンケート調査からも明らかになっています。
そんな注目される目元ケアですが、まつ毛ケアに関していうと、以前よりもナチュラル志向がトレンドになっているといわれています。
また、セルフケアとしてまつ毛美容液によるケアを取り入れている人もいます。最近では、いろいろな美容成分を配合したものが増えていて、手軽に自まつ毛のケアができるようになってきています。
 
このように、以前に比べるとまつ毛ケアの種類や方法が多様化してきていますが、同時に行き過ぎたケアによる目元トラブルに悩む人も増えているようです。そこで、<藤岡眼科 副院長の藤岡聖子先生>に、目元トラブルとケアについてお話を伺いました。
 

藤岡先生インタビュー:行き過ぎたまつ毛ケアが招くトラブルと対策について

当院に目元のかゆみ、充血、痛みなどを訴えてくる患者様のなかには、不衛生な状況が原因でトラブルを生じている方が少なくありません。目元を拡大してみてみると、ひどい場合は、まつ毛ダニまで発生しているケースもあります。
あくまで当院に来院される患者様の事例のため、すべての方に該当するわけではありませんが、まつ毛エクステによるトラブル、マスカラ・アイメイクによるトラブルに分類できます。
 

1.まつ毛エクステによるトラブル

まつ毛エクステによるトラブルには、大きく2つの原因があります。
ひとつは、エクステ装着により目元が洗いにくくなりメイクや汚れを落としきれないことが原因になるケースです。患者様の目元を拡大して見てみると、メイクの残留がひどいことがよくあります。人によっては「まつ毛ダニ」が発生していたりします。まつ毛ダニを知らない方はぜひ検索してみてください。画像がたくさん出てきます。
もうひとつはエクステの装着方法が悪いケースで、エクステが角膜に触れていることにより角膜に傷がついている方もいます。
 
対策
まず、目元のメイクや皮脂汚れなどをしっかり落とす習慣をつけましょう。必要に応じてアイシャンプーなどを併用し、とにかく清潔に保つことを心がけてください。
また目元のかゆみや痛みなど不快な症状を感じたら、エクステをオフし、しばらく中断して様子をみましょう。
 

2.マスカラ・アイメイクによるトラブル

マスカラやアイメイクが原因でトラブルが起きている患者様もいます。構造上やむを得ないのですが、マスカラ容器やブラシは使い捨てではなく長期間使用するため雑菌が繁殖しやすく、その状態でメイクをし続けることがトラブルの原因となっていることが少なくありません。また、目元の炎症(マイボーム腺炎:まぶたのやや内側にある油分の分泌腺が炎症を起こしたもの・麦粒腫)を引き起こす場合があります。
 
対策
メイク用品を開封したらできるだけ早めに使い切り、古いものは使用しないようにしてください。また、メイクをしっかりと落とすようにしましょう。
トラブルが生じた場合には、眼科を受診し、アイシャンプーなどで洗浄する方法を指導してもらい、まつ毛の根元を常に清潔に保つようにしましょう。
 
まつ毛が抜けて薄くなってしまった場合は、医療用のまつ毛専用の育毛剤がありますので、眼科や美容皮膚科を受診して処方してもらいましょう。抜けづらくなり、結果的には自分のまつ毛がつややかに太くなってきます。ただし、刺激感がある場合には医師に相談しましょう。
 

藤岡先生おすすめのまつ毛ケア法:自まつ毛をいたわり、育てるケアを

私はさまざまな患者様のトラブルを見て、アイメイクはできる限りしないほうがよいと考えています。ちなみに、当院のスタッフも全員アイメイクはしていません。すべての方に当てはまるわけではありませんが、どうしてもアイメイクをしっかりする方ほどトラブルにつながるリスクが高まってしまいます。
エクステの長期装用やマスカラの習慣的利用により、まつ毛が切れたり、生えなくなってしまう方も多いです。
私は、自まつ毛をいたわり、育てるケアをおすすめしています。最近は、健康でハリのあるまつ毛にしたり、抜けにくい環境を整えたりする製品も販売されていますので、そのようなものを上手に取り入れるのも方法のひとつでしょう。目元を清潔に保つように心がけて、美しい目元をキープしましょう。
 
目元ケアのポイント
 

インタビューに応じてくれた先生

藤岡 聖子先生 
 
1987年 順天堂大学医学部卒業後、日本大学眼科学教室入局、日本大学板橋病院勤務
1993年 日本大学大学院卒業、医学博士取得、国立札幌病院勤務
1997年 藤岡眼科病院勤務
2007年 同病院副院長
2012年 現在の地に藤岡眼科として院長と共に新築移転し、現在に至る
 
医療法人秀真会 藤岡眼科 
〒041-0802 函館市石川町450番地2
TEL 0138‐34‐5550
公式サイトはこちら

 
 
ここまで目元トラブルとケアについて藤岡聖子先生にお話をお伺いしました。
最後に、健康的なまつ毛を維持するアイテムのひとつである、まつ毛美容液を選ぶポイントをご紹介します。
 

まつ毛ケア製品選びのポイント

まず、まつ毛美容液はあくまでも化粧品のひとつであり、美容成分によってまつ毛を健康的に美しく保てるようにケアするためのものです。医薬品とは違い、まつ毛を長くしたり、育毛したりすることを目的としたものではないので、その点は留意しておきましょう。
そのうえで、まつ毛美容液を選ぶ際には、次のポイントをチェックしてみてください。
 

刺激性のあるものなどが入っていないかどうかをチェック

とくに目周りの皮膚は薄く、また、まつ毛美容液は目の粘膜との境界線に塗布するものなので、アルコールなど刺激性のある成分や、パラベンなどアレルギーが起きやすい成分が配合されていないものを選ぶほうが安心です。医療機関のみで購入できるまつ毛美容液はトラブルが少ないです。
なお、こうした成分の有無にかかわらず、使い始めてから痛みや赤み、かゆみ、腫れ、充血、まつ毛が抜けるといった症状が現れた場合には、すぐに使用を中止してください。あわせて、まつ毛美容液を使用する際は目に入らないように注意し、誤って入ってしまった場合は水でよく洗い流すようにしましょう。
 
肌と同じようにまつ毛も正しいケアを毎日継続して、素敵な自まつ毛を目指しましょう。
 

まとめ

  • 上下のまぶたに生えるまつ毛には、ほこりなどの異物の侵入を防いだり、日光など強い光から目を守ったりする役割がある
  • まつ毛ケアは以前よりもナチュラル志向がトレンドになっている。
  • 藤岡先生によると、目元のケアのトラブルはまつ毛エクステによるトラブル、マスカラ・アイメイクによるトラブルの大きく2つに分類できる
  • 市販のまつ毛美容液はまつ毛を健康的に美しく保てるようにケアするためのもので、育毛を目的とするものではない
  • まつ毛美容液選びのポイントとして、刺激性のあるものが含まれていないかを確認することがあげられる
  •  
     
    参考
    ボイスノート「コロナ禍におけるメイクに関するアンケート
    ホットペッパーアカデミー「アイメイク・アイサロンに関する意識・実態調査」

    この記事がよかったらシェアしよう