2021/08/31
美肌のために詳しく知りたい!「ビタミンA」配合の化粧品について
最終更新日 2023/10/17
シミや小じわ、くすみ、ハリ感、毛穴の開きなどのエイジングサイン。このような初期のエイジングケアには、ビタミンAが配合された化粧品が効果的です。でも、ビタミンAは皮むけや赤みなどの反応が出やすい成分で、正しく使わないとかえって肌の負担になる可能性があります。そこで、ビタミンAの基礎知識や使用上の注意点などを確認していきましょう。
目次
そもそもビタミンAって?
ビタミンAは、油に溶けやすい脂溶性ビタミンの一つで、目や皮膚、粘膜などの健康や成長促進に関わっています。
レバー、うなぎ、バター、卵、牛乳などの動物性食品に多く含まれていて、栄養素として体内に入ると脂肪とともに小腸から吸収され、そのほとんどは肝臓に貯えられます。
ビタミンCなどの水溶性ビタミンは摂りすぎても尿と一緒に排泄されますが、ビタミンAは体内に蓄積されていきます。そのため、摂りすぎると頭痛、皮膚炎、脱毛などの「ビタミンA過剰症」と呼ばれる健康上のリスクがあります。ビタミンAが特に多いレバーやサプリメントの過剰摂取には注意しましょう。一方で、体内でビタミンAに変化するβ(ベータ)-カロテンには、過剰摂取による有害作用はないとされています。β-カロテンは、かぼちゃ、ほうれん草、人参などの植物性食品に多く含まれています。動物性食品と植物性食品、どちらもバランスよく食事に取り入れていくとよいでしょう。
美容成分としてのビタミンA:そのおもな働きとは?
美容の分野において、ビタミンAは紫外線によるシミやしわ、乾燥による小じわ、たるみ毛穴などへアプローチする成分として知られていて、クリームや美容液などに配合されていることが多いです。ビタミンAは、たとえば肌に対して次のような働きがあります。
●ターンオーバーの促進
肌は、一定のサイクルでターンオーバー(新陳代謝)を繰り返しています。ターンオーバーを繰り返すことで、ホコリに代表されるような外部の刺激から肌を守ったり、潤いやハリのある肌を維持してくれます。ですから、ターンオーバーを正常に保つことは、美肌を保つ上でとても重要です。逆に加齢や誤ったスキンケア、ストレス、不規則な生活などからターンオーバーのサイクルが乱れると、肌表面の古い角質層が蓄積して、ごわつきや乾燥、毛穴のつまりなど、肌トラブルが起きやすい状態に。また、くすみやしみ、ニキビ跡が目立つ原因にもなります。
ビタミンAには、古い角質層を除去してターンオーバーを促す作用があります。
●コラーゲン・ヒアルロン酸の生成促進
肌のハリや弾力に欠かせないコラーゲンの合成を促す働きがあります。また、ヒアルロン酸の分泌を促進して角質層の水分量を増やし、肌に十分なうるおいを与えます。
●皮脂分泌のコントロール作用
皮脂の分泌をコントロールすることで知られています。過剰な皮脂の分泌を抑えて、ニキビを防いだり、毛穴のつまりを改善したりします。
●細胞の保護効果
紫外線のエネルギーを吸収し、肌の細胞がダメージを受けないように保護する働きがあると考えられています。
このように、ビタミンAには肌の機能を正常にして、美しく保つ働きがあります。
ビタミンAの種類
ビタミンAは「レチノイド」ともいい、構造の違いにより「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」に分類されます。
実は、レチノイン酸はレチノールの形が変化したものです。レチノールが皮膚内に入ると、代謝によって形が変わっていきますが、その最終形が「レチノイン酸」なのです。
●レチノール
化粧品の成分で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
日本で市販されている化粧品には、レチノイン酸よりも作用が穏やかなレチノールが使われています。
レチノールにはさまざまな種類があり、レチノール成分のみの「ピュアレチノール」以外に、レチノールに酢酸を加えた「酢酸レチノール」や、パルミチン酸を加えた「パルミチン酸レチノール」などがあります。
これまでピュアレチノールは即効性に優れていて浸透力が高いという特徴があるものの、酢酸レチノールやパルミチン酸レチノールなどに比べて、成分が不安定で肌刺激が強いという問題点が指摘されていました。けれども、この頃では新技術の導入が進み、レチノールをカプセル化して内包するなど、各メーカーでさまざまに工夫された製品開発が進んでいます。
●レチナール
レチノールが酸化したもので、レチノイン酸になる前の段階。
●レチノイン酸
レチノイン酸は、主に皮膚科での治療薬として使われています。とくに強力なターンオーバー促進作用があり、その効果はレチノールの約50~100倍ともいわれています。
ただし、効果が高い反面、肌への負担も大きく、皮むけ、赤みなどの症状(レチノイド反応)が出やすいことがわかっています。そのため、日本では医師の処方が必要な薬剤とされていて、化粧品には配合されていません。
ビタミンAの副作用「レチノイド反応」について
「ビタミンA配合化粧品を使ってみたいけど、副作用が怖い」という人は多いかもしれません。一般によく知られている副作用は「レチノイド反応」のことで、使い始めからしばらくの間、塗った部分に皮むけ、乾燥、ヒリヒリ感、赤みやほてりなどの症状が現れるものです。これは、ビタミンAが不足した肌に、急にビタミンAを補給したことで、肌の新陳代謝が促進されておきる反応です。
ですから、レチノイド反応は肌の正常な反応だと言えます。
ただし、症状が長引くような時は、レチノイド反応ではなく、一般的な肌荒れの症状の可能性がありますので、皮膚科を受診するようにしましょう。また、症状があまりにも強い場合にも、早めに病院で相談することをおすすめします。
ちなみに、もともとビタミンAの耐性を持っていて、レチノイド反応が出にくい人もいます。反応がでなくても効果がないわけではないので、過度に心配する必要はないでしょう。
またこの頃では、レチノイド反応が出にくい新しい成分も登場しています。それは「レチノアート」(※1)という成分です。肌への刺激などのネガティブな反応が起きにくいため、比較的安心してビタミンAの効果を期待することができます。「レチノイド反応が心配」という人は、このような新しい成分の入った化粧品を試してみるのもおすすめです。
※1 レチノイン酸ヒドロキシピナコロン
使用中はとくに気をつけたい紫外線対策
ビタミンA配合化粧品を使っている間は、肌が敏感な状態にあります。ふだんから紫外線対策を徹底することは大切ですが、新たなシミや色素沈着を防ぐためにも、日中は必ず日焼け止めを使用するなど、とくに注意して紫外線ダメージを防ぎましょう。
また、ビタミンAは酸化しやすく、乾燥や高温で成分が壊れるなどの特徴があります。化粧品メーカーが推奨する保管方法を守って、注意しながら使うようにしましょう。
化粧品選びは慎重に
ビタミンA配合化粧品にはいろいろな種類があり、商品ごとにその成分や配合量も異なります。また、肌の状態も一人ひとり違います。良い効果を出したいという気持ちを優先するあまり、自己判断で強い作用の商品を選ぶと、かえって肌に負担になるリスクがあることを知っておきましょう。
このような副作用が心配される化粧品は、クリニックで相談しながら選ぶことをおすすめします。もしレチノイド反応で不安になったとしても、かかりつけの先生がいれば安心です。自分の肌に適した化粧品を選んで、理想の肌に近づきましょう。
ビタミンAについてまとめ
- ビタミンAは、目や皮膚、粘膜などの健康や成長促進に関わっている
- 肌に対する主な働きとして、ターンオーバーの促進、コラーゲン・ヒアルロン酸の生成促進、皮脂分泌のコントロール作用、細胞の保護効果がある
- ビタミンAは、「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」に分類される
- 純粋なレチノール以外にも、酢酸レチノールや、パルミチン酸レチノールなど、さまざまな種類がある
- 「レチノイド反応」と呼ばれる副作用があり、使い始めからしばらくの間、皮むけ、乾燥、ヒリヒリ感、赤みやほてりなどの症状が現れることがある
- この頃は、レチノイド反応が出にくい「レチノアート」という新しい成分も登場している
- 日中は必ず日焼け止めを使用して、とくに紫外線ダメージに気をつける
- ビタミンAのような副作用が出やすい化粧品は、クリニックで相談しながら選ぶのがおすすめ