2021/12/21

正しい知識で角質ケアを!自宅でできるスペシャルケア「ピーリング」について

正しい知識で角質ケアを!自宅でできるスペシャルケア「ピーリング」について

最終更新日 2023/10/17

自宅でも行えるお肌のスペシャルケア「ピーリング」。肌のごわつきやくすみ、毛穴の詰まりなどをスッキリさせることができるため、頻繁に取り入れている方もいるのではないでしょうか。美肌づくりに効果的なピーリングですが、やりすぎは厳禁。そこで、今回はピーリングを活用するための正しい知識をお伝えします。

ピーリングははがして落とす角質ケア

ピーリングは、皮などをはぐ、むく、といった意味を持つ英語の「Peel(ピール)」が語源の言葉です。一般的に「角質ケア」としても知られていますが、語源の通り、洗顔料などの成分で肌表面の古くなった「角質」をはがし、お肌の新陳代謝を促進するケアを意味します。

不要な角質を除去すると、化粧水などの浸透力がアップするほか、キメが整い、肌のごわつきやくすみ、毛穴の詰まりなどが改善されます。また、新陳代謝が促されると、肌の生まれ変わりがスムーズに。ピーリングはスペシャルケアとして適切に取り入れると、美肌づくりに効果的なものです。

角質とターンオーバー

ピーリングについて知る前に、理解しておきたいのは肌の基本的な構造と、生まれ変わりの仕組みです。

皮膚は1枚の膜のように見えますが、実際は上から表皮、真皮、皮下組織の3つの層でできています。それぞれに重要な役割がありますが、一番上にある表皮は、外から菌やウイルスなどの異物や刺激から肌を守ったり、肌内部の水分が蒸発したりしないようバリアのように働き、うるおいを保ちながら健やかな肌の美しさを守っています。そんな表皮の、最も外側にあるのが、「角質細胞」からなる「角質層」です。

角質層以下の表皮は、肌の生産工場とも呼ばれ、表皮のいちばん下にある「基底層」で新しい細胞が生まれ、上へ上へと押し上げられていき、角質細胞になります。そして最後は垢となって剥がれ落ちる、という生まれ変わりの仕組みが肌には備わっており、これを「ターンオーバー」と呼びます。若々しい肌のターンオーバーは28日程度のサイクルで、表皮がダメージを受けても健やかな状態に戻せるようになっています。しかし、加齢とともにターンオーバーは遅くなり、40代になると約40日かかると言われています。また、ストレスや乾燥といった様々な要因も重なりターンオーバーが乱れると、肌のざらつきが気になったり、シミやくすみができやすくなる、小じわができる、といった肌トラブルが起こりやすい状態になります。

ターンオーバー

そんな時、ピーリングによって新陳代謝を促すと、ターンオーバーが整い、肌の生まれ変わりがスムーズに。美肌を目指すためには、余分な角質をためないことが重要です。

自宅で行うピーリング:成分と特徴

一般的に自宅での角質ケア製品に含まれる代表的なピーリング成分の特徴は次の通りです。

○ 酸

代表的なものに、α−ヒドロキシ酸(AHA)β−ヒドロキシ酸(BHA)があります。
AHAは「α−Hydroxcic acid」の略で、サトウキビなどから抽出される「グリコール酸」やヨーグルトなどから抽出される「乳酸」、「フルーツ酸」などがこれに含まれ、細胞同士の結合力を弱めて古い角質をバラバラにし、剥がれやすくする作用があります。
BHAは別名「サリチル酸」として知られており毛穴トラブルやニキビ予防の化粧品にもよく使われています。

○ 酵素

タンパク質を分解する酵素を用いるもので、効き目は比較的穏やかですが、角質細胞の結びつきをゆるめ、剥がれやすくなる効果があります。

○ スクラブ

細かい粒子であるスクラブを含む洗浄アイテムで、物理的に肌表面をこすることで角質細胞を剥がします。

自宅で行うピーリング:気をつけたい商品の選び方や使い方

このようにピーリング化粧品に含まれる成分はさまざまで、商品の種類も数多くありますが、選び方や使い方には注意が必要です。

まず、商品のタイプとしては、洗顔料やパック、拭き取り化粧水などがあります。製品にはそれぞれ、適切な使用目安が記載されていますが、いずれも過度の使用はご法度。ピーリングをしすぎるとバリア機能が弱まり、乾燥がひどくなることもあります。使用方法を守ることはもちろん、自分の肌に合うか、まずはパッチテストを試しましょう。一般的に拭き取りタイプはコットンで肌をこする動作も加わるためやや刺激が強くなりがちに。洗顔料などの洗い流すタイプは、物理的な刺激が少ないため、比較的どんな肌質の人でも使いやすいとされています。

ピーリングの種類として、スクラブタイプは、使用時の力加減により肌を傷つけてしまう可能性もあるため、やさしく塗布するよう注意しましょう。酵素は効果が比較的穏やかなため、バランス良く使いやすいのは、酸を用いているピーリング化粧品と言えるでしょう。

スキンケア

クリニックで行うピーリング:ケミカルピーリングについて

皮膚科などの医療機関で行われる「ケミカルピーリング」は、主にニキビや、シミ、加齢症状の改善を目的として、皮膚に薬剤を塗り化学的に皮膚を溶かして肌の再生を促すもので、症状やその重症度により作用する深さを調整する必要があります。そのため、安全で適切な治療のためには、症状の診断、薬剤の選定やpH調整など、治療する医師に十分な知識や技術が求められます。

ケミカルピーリングの薬剤として使われるのは、先にもご紹介したグリコール酸や乳酸、サリチル酸の他、「トリクロロ酢酸(TCA)」や「フェノール」などがあり、肌の状態によって薬品の濃度や塗布方法、放置時間を変えたり、外用剤やレーザー治療と併用して相乗効果を期待することもあります。

治りにくいニキビや肝斑など、セルフケアでは解決しづらい肌の悩みを抱えている場合、ケミカルピーリングは効果的な選択肢の一つになるでしょう。ケミカルピーリングは医療行為のため、必ず医療機関で治療を受けましょう。

ニキビ女性

ピーリング後の注意点

セルフケアでのピーリングやクリニックでのケミカルピーリング、いずれにしても、ピーリング後の肌はさまざまなダメージを受けやすい状態になっています。とくに紫外線には要注意。角質層が剥がれたピーリング後の肌は紫外線が皮膚の深くまで届きやすく、シミやしわなどができる可能性も。日頃からUVケアは重要ですが、室内で過ごす時も日焼け止めを必ず塗り、紫外線対策は万全にしましょう。

また、ピーリング後の肌は乾燥しやすい状態になっているため、何よりも保湿を忘れずに。おすすめはバリア機能を補助するような保湿剤や、セラミドなどの保湿成分を配合したもので、丁寧に保湿ケアを行いましょう。

ピーリングは肌への刺激が強い、と思われがちですが、適切に取り入れることで、ニキビ予防や毛穴づまり、しみ、くすみ、しわなど、さまざまな肌のお悩みに効果的が期待できるものです。医療機関でのケミカルピーリングも含め、スペシャルケアとして、定期的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • ピーリングは、肌表面の古くなった「角質」をはがし、お肌の新陳代謝を促進するケア
  • 角質層は皮膚の一番外側にあり、外部の刺激から守ったり肌の潤いを保つ働きをしている
  • 健康な肌はおよそ28日サイクルのターンオーバーで生まれ変わり、加齢とともに遅くなる
  • ピーリングで新陳代謝を促すと、加齢などによって乱れているターンオーバーが整う
  • ピーリング化粧品には、酸や酵素、スクラブなど様々な成分が含まれる
  • ピーリングのやりすぎは肌の負担となるため、商品の使用方法を守ることが大切
  • ケミカルピーリングは、施術者の十分な知識や技術が必要な医療行為である
  • ピーリング後は紫外線対策と保湿ケアが重要


※本稿の「ピーリング」とは角質ケアのことを指し、医療機関で行う「ケミカルピーリング」とは異なります。

執筆:南部洋子(助産師、看護師)

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