2021/12/14

【医師監修】「シミ」を予防・改善して美白を目指す!美白ケア特集2~代表的な美白成分~

【医師監修】「シミ」を予防・改善して美白を目指す!美白ケア特集2~代表的な美白成分~

最終更新日 2023/10/17

2記事に渡ってお届けしている「美白ケア特集」。前回の記事では美白ケアのメカニズムをご紹介しましたが、今回は美白ケアで使われる「成分」を解説します。それぞれの成分の特徴を知って、効果的な美白ケアをおこないましょう。

美白ケアで使われる4つの代表的な成分

様々な美白成分がありますが、どのように作用するのかを知っておくことで効率のよいスキンケアができます。
美白ケアをする際によく使われる代表的な成分やその働きを紹介します。

〇ハイドロキノン

ハイドロキノンは医療現場での美白効果の実績もある成分ですが、一方で赤み、かゆみ、皮むけなどの反応が生じることがあります。従来、日本では医師の管理下でのみ使用できた成分でしたが、2001年の規制緩和により化粧品への配合が出来るようになりました。
病院やクリニックで医師の指示で使用することもあれば、インターネットでも4%程度の濃度の化粧品、製品を購入して使用することもできます。
メラニンの生成にかかわるチロシナーゼを阻害することで美白効果や、色素沈着の改善をもたらします。ハイドロキノンは効果が期待できるからこそ初めて使用する時や、久しぶりに使用する時は自己流ではなく、医師の指導の下に使うことをおすすめします。

 ハイドロキノンが配合されている製品では、濃度は1~2%あるいは4%前後のものが多いかと思います。使用する期間、しみや色素沈着のタイプによって使い分けるのが良いかと思います。長期に使用する場合や、肌の反応が心配な方は低濃度から使用するのが良いでしょう。
 病院やクリニックでは、院内調剤されたハイドロキノンを使用することもあります。ハイドロキノンは原料の粉末の状態によって基材のクリームへの溶け方、塗り心地も変化します。購入できる量や値段も変わります。使用する前にどのくらいの期間で使用するのか、濃度、保存期間、保管方法などを確認することは大事です。
 病院やクリニックで購入したハイドロキノンはいわゆる軟膏壺と呼ばれる容器に入っていることが多く、使用するたびに蓋を開け閉めしますので、空気に触れて酸化しやすい状態ともいえます。できるだけ短期で使用してハイドロキノンが変色などしないようにしましょう。
医療機関専売品のハイドロキノンや、ネットで購入できるハイドロキノンではチューブタイプのものもあります。チューブタイプのハイドロキノンは空気が入りにくいため比較的長期間使用できるものも多いのですが、変色などには注意が必要です。
反応性が高く不安定な成分のため、保管には十分注意する必要があり、冷蔵庫保存が必要な製剤も多くあります。開封後は速やかに使い切り、変色したものなどは使わないようにします。
長期使用については慎重な取り扱いが必要との考え方もあるため、医師の指導のもと使用することをおすすめします。
赤みや皮膚刺激などが現れた場合は、すぐに使用を中止して、医師に診てもらいましょう。

上手にハイドロキノンを使うことで、ほかの美白成分との相乗効果も期待できます。

ハイドロキノン

〇ビタミンC誘導体

ビタミンCは容器の中や、肌の表面でも不安定であるために、安定化させて肌に浸透しやすくしたものがビタミンC誘導体です。メラニン合成にかかわるチロシナーゼの活性化を抑制したり、生成されたメラニン色素を還元して無色化する作用もあります。ビタミンEと相互的に作用することで様々な抗酸化作用(活性酸素を除去すること)を発揮します。真皮(表皮の下の皮膚の土台になる部分)のコラーゲン生成にも関わります。
ビタミンC誘導体は基本的なビタミンCの構造に様々な形の分子を結合させて、皮膚の中で代謝および分解されてビタミンCの効果を発揮します。水溶性(水に溶けやすい)、脂溶性(脂に溶けやすい)、両親媒性(水溶性、脂溶性両方の特徴を持つ)のビタミンCがあります。様々な化粧水、美容液に含まれますが、それぞれの安定性や特徴を考慮して選ぶのが良いでしょう。
より効果的にビタミンCを浸透させる方法の一つに、肌の表面に弱い電流を流し有効な成分を浸透させる技術としてイオン導入があります。この場合、水溶性ビタミンが使用されます。家庭でも使用できるイオン導入器と水溶性ビタミンCを組み合わせることで、手で肌に塗る以上の効果が期待できます。

〇トラネキサム酸

人工的に作られたアミノ酸で、出血や炎症を抑える目的で医薬品としても使用されます。
炎症を抑える抗プラスミン作用によって、メラノサイトの活性を抑えメラニンを作らないようすることが期待できます。
内服は医師が処方する医薬品と、処方箋が不要なOTC医薬品があります。内服により血栓形成が促進されるリスクを懸念する声もあり、用法容量は守って使用する必要があります。
持病のある方や、通院中の方は主治医に相談することも重要です。
トラネキサム酸の外用の使用も広まり、医薬部外品や医療機関専売品の化粧品も増えました。刺激が少なく白斑等のリスクも少ない成分のため、長期間の使用も可能で、ほかの美白成分(ハイドロキノンやビタミンCなど)と併用されることもあります。成分の安定性が高いため、一般的な化粧品と同じく常温保存可能な製品が多いです。
化粧水によっては、イオン導入で肌に浸透させることもできます。

トラネキサム酸:イオン導入

〇アルブチン

アルブチンは天然ではコケモモやナシなどにも含まれている成分で、ハイドロキノンに糖が結合した状態であるため、安定性があるとされています。チロシナーゼの働きをおさえ、メラニン合成をブロックします。α型とβ型があり、それぞれが含まれる様々な化粧品があります。

他にも多くの美白成分があります。たくさん使えばいいものでもありません。ご自分にあった美白ケアにはどのような美白成分が主役になるのかを探し出すことが大事です。

美白ケア製品を使用する時の注意点

美白ケア用品の使い方には、いくつかの注意点があります。間違った使用方法では、効果が望めないばかりか、シミが濃くなる、色素沈着が発生するといった可能性もあります。注意事項を守って使用しましょう。

各種化粧品

〇紫外線対策

メラニン本来の生理機能は、紫外線ダメージから皮膚を守る(紫外線を吸収する)ことです。美白ケアの期間中は、メラニンの生成、および本来の機能を抑制することになるため、日焼け止めによって紫外線ダメージから肌を防御することが重要です。
美白ケアはしみや光老化に対する対策であり、原因の紫外線への対策は不可欠です。美白成分によるケアを積極的に行っていなくても、健康でみずみずしい肌を保つために紫外線対策は行いましょう。
日傘や帽子や洋服も紫外線対策として有効です。

〇お肌に合わないときは、直ちに使用を中止する

赤みが出たり、刺激を感じたりした場合にはすぐに使用を中止し、専門の医師にご相談ください。赤みがある状態が長く続くと、メラノサイトが活性化し、色素沈着のリスクが高まる場合があるため、注意が必要です。
同じ化粧品を長期間使用していても、ホルモンバランスの変化(妊娠、ホルモン治療、月経周期)によっては皮膚の刺激になることがあります。

〇開封後は、なるべく早く使い切る 保存は、冷暗所で

一般的にハイドロキノンやビタミンCは成分として安定性が低く、高濃度であるほど劣化の影響を受けやすいため、開封後は1ヶ月~1ヶ月半を目安に、なるべく早く使い切りましょう。製品によっては長期使用ができるものもあります。購入する際にどのくらいで使い切るのかを確認することも大事です。
直射日光を避け冷暗所で保存していただくことをおすすめいたします。

〇製品が変色した場合、使用は中止

ハイドロキノンやビタミンCは酸化しやすく、変色(茶色)しやすい成分です。開封後は、冷暗所でなるべく空気に触れないよう保管し、早めに使い切ってください。
変色した場合は、使用を中止して、新しいものをお求めください。

〇妊娠中・授乳中は医師と相談

妊娠中・授乳期間中は、ホルモンバランスが変化しやすい時期であるためは、シミが濃くなったり肌が荒れやすくなったりするなど、想定外の反応が起こることがありますので、医師に相談しながら使用しましょう。

より効果的な美白ケアを目指して

口コミが良い、評価の高い化粧品だからといって、一つの製品ですべての問題が解決することは難しいと考えています。誰かが良いといった製品であっても、自分に良いか、合うかは別だからです。なので、ご自身の目的や症状にあった美白ケアを見つけることが大事です。せっかく見つけた美白ケアも、年齢や季節、肌の状態によって変えなければいけないこともあります。
季節の変わり目や、化粧品の購入の際に定期的なお肌の相談、美白ケアの確認をすることは誤ったケアの軌道修正にもなります。相談できる医師、病院やクリニックのスタッフ、化粧品販売スタッフと出会うことは、自分に最適な美白ケアに出会う近道かもしれませんよ。

※1 出典:ロドデノール誘発性脱色素斑 医療社(皮膚科医)向けの診療の手引 公益社団財団法人日本皮膚科学会

まとめ

  • ハイドロキノンは医療現場でも美白成分として用いられるが、保管方法や濃度など注意点が多い
  • ビタミンC誘導体には、チロシナーゼの活性化抑制やメラニンの無色化、抗酸化作用などの働きがある
  • トラネキサム酸は抗プラスミン作用によって、メラニンの活性化を抑える
  • アルブミンはチロシナーゼの働きを抑えてメラニンの合成化をブロックする
  • 美白成分配合の化粧品を使う際は、紫外線対策の徹底、開封後の早期使いきり、冷暗所での保管などの注意点を守ること
  • 信頼できる専門家を見つけることが美白ケアの近道になることもある

<監修>

~プロフィール~
独立行政法人国立病院機構 相模原病院
形成外科・美容外科 秋本峰克先生
https://sagamihara.hosp.go.jp/sinryouka/keiseigeka.html

北里大学卒業後、同大学形成外科入局。その後、地域中核病院勤務にて研鑽を積み、現在国立病院機構相模原病院勤務、形成外科・美容外科 医長となる。
同院では国公立病院としては珍しい美容外科の標榜があり、一般的な形成外科治療はもちろんのこと、美容治療やスキンケアに対する造詣も深く、日夜幅広い治療に専心している。

略歴
・北里大学医学部卒業、同大学形成外科入局
・長野厚生連 北信総合病院 形成外科
・国家公務員共済組合連合会 横浜南共済病院 整形外科
・国家公務員共済組合連合会 横須賀共済病院 外科
・北里大学医学部 形成外科・美容外科学 講師
・2016年より独立行政法人 国立病院機構 相模原病院 形成外科 美容外科 科長

所属学会・資格
日本形成外科学会 形成外科専門医
         皮膚腫瘍外科指導専門医
         小児形成外科分野指導医
         再建・マイクロサージャリー分野指導医
日本熱傷学会   熱傷専門医
日本創傷外科学会 創傷外科専門医
日本美容外科学会(JSAPS) 美容外科専門医
日本美容医療協会 美容レーザー適正認定医

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