2023/12/25
【医師監修】美顔器のイオン導入、エレクトロポレーション、超音波導入はどんな機能?それぞれの特徴や使用上の注意点について解説!
最終更新日 2024/01/19
「毎日しっかりスキンケアをしているのに、イマイチ効果を感じられない」、「スキンケアの効果をもっと実感したい」というお悩みはありませんか?そんな方におすすめなのが、家庭用美顔器です。家庭用美顔器にはとてもたくさんの種類があり、期待できる効果もさまざまです。その中から今回はイオン導入機能、エレクトロポレーション機能、超音波導入機能の3つの機能を取り上げ、それぞれの特徴や使用上の注意点について解説します。
目次
美容成分は肌の奥まで届きにくい?その理由とは
毎日化粧水や美容液をつけている方が多いと思いますが、実は単に塗布しただけではその美容成分をより深く浸透させることはできません。なぜなら、肌の表面にはバリア機能があるからです。バリア機能の役割には、肌内部の水分が過剰に蒸発するのを防ぐことと、外部の刺激から肌を守ることの大きく2つがあり、肌を健康に保つためには欠かせないものです。けれども、この機能があるがゆえに、化粧水や美容液の成分もただ塗っただけでは、肌表面の角層から奥には入っていくことができないのです。
そこで、有益な美容成分を肌の奥にまで届けるために、美容業界ではさまざまな技術やしくみが考えられてきました。その中で考案されたのが、イオン導入やエレクトロポレーション、超音波導入といったしくみで、現在では美容皮膚科などの医療機関やエステサロンの施術に活かされています。そして最近では、日々のスキンケアにも取り入れられるようにと、家庭用の美顔器にもこうした機能が搭載されるようになってきています。
では、具体的にどのような仕組みで美容成分が肌に届けられるのでしょうか。機能別にご紹介していきます。
美顔器の機能(1)イオン導入
イオン導入とは、肌にごく弱い電流を流し電子同士が反発する力を使って、美容成分を肌の奥に成分を届けるしくみのことで、もともとは薬剤を浸透させるために開発された医療分野の技術です。
そもそも電子にはプラス(+)とマイナス(-)があり、美容成分もプラスイオンを持つものと、マイナスイオンを持つものとに分けられます。また、イオン導入器にもプラスとマイナスの電極が付いていて、これを使い分けることで、美容成分を肌に届けることができます。具体的には、肌にプラスの電極を当てると、プラスイオンを持つ美容成分が反発して肌の奥に届けられ、マイナスの電極を当てると、マイナスイオンを持つ美容成分を肌の奥に届けることができます。イオン導入は主に水溶性の成分と相性がよく、家庭用美顔器を使う際には、ビタミンC誘導体やプラセンタ、トラネキサム酸、アミノ酸などが適しています。
一方で、電流を流すために人によってはピリピリとした痛みを感じることがあります。家庭用のイオン導入器はそもそも電流が低めに設定されているため過度に心配する必要はありませんが、ケアの際に痛みを感じた場合には出力を調節したり、いったん中断するなど、肌の状態に合わせて対処するようにしましょう。また、使用中の痛みや使い方などが心配な方は、医療機関専売の家庭用イオントリートメント機器を使うことも選択肢の一つとしておすすめです。医療機関専売のものであれば、効果的な使い方や不安な点を医師や医療スタッフに直接相談することができます。
美顔器の機能(2)エレクトロポレーション
エレクトロポレーションとは、短い周期の電流を用いて肌に一時的に小さな孔(あな)をあける方法で、そこから美容成分を肌の奥に届けていきます。一時的にあけた孔はすぐにふさがれるため、肌へのダメージが少なく、美容クリニックでも人気の施術です。
エレクトロポレーションの最大のメリットは、その浸透率の高さです。
また、イオン導入のようにイオン化した成分でなくとも導入できるため、ヒアルロン酸など高分子の成分でも肌の奥に届けることができます。さまざまな美容成分を浸透させることができるため、自分の肌の悩みにあわせて選ぶことが可能です。また、ケアの際の痛みもほとんどありません。ただし、肌の状態などによってはピリピリと感じたり、使用する成分が合わない場合には肌荒れが起こる可能性もあります。また、家庭用のエレクトロポレーション機能を持った美顔器は、クリニックで使われるものよりも電流の出力は低く、その分、効果も劣ります。それでも、ふだん使いできる点は家庭用美顔器の大きなメリットと言えるでしょう。
美顔器の機能(3)超音波導入
超音波導入器は、超音波の力で肌を振動させて細胞と細胞の間に隙間をあけて、そこから美容成分を導入する機器です。一秒間に数百万回もの振動を起こせるものもあり、効果的に美容成分を浸透させることができます。
超音波導入のメリットは、肌を振動させることにより血流が促進されたり、肌が活性化されたりして、ツヤやハリのアップといった効果が期待できることです。一方で、成分の導入という点ではイオン導入よりも劣ると言われています。また、やりすぎると肌に負担がかかってしまうため、頻繁におこなうことはあまり推奨されていません。これは他の家庭用の美顔器でも同様ですが、推奨された頻度を守って使用するようにしましょう。
家庭用美顔器の選び方
実際に市販されている美顔器を見てみると、1つの機能に特化したものから、複数の機能を搭載したものまでさまざまです。また、機能に応じて値段も大きく異なり、数千円で購入できるものから、十万円以上するものまであります。けれども、必ずしも多機能で高額なものが自分に合っている、とは限りません。1台10役のものを買ったけれど、結局、1~2機能しか使わない、ということもあるので、まずは自分が美顔器でどんなケアをしたいのか、また、その目的を達成するために必要な機能は何かをよく考え、予算も踏まえた上で選ぶようにしましょう。また、家庭用美顔器には金属が使われているものがありますので、金属アレルギーのある方は注意しましょう。過敏な方は控えるほうが安心ですが、金属アレルギーが起こりにくいように配慮された美顔器もあるため、それらを試してみるのも方法の一つです。
家庭用美顔器でホームケアをする際の注意点
最後に、家庭用美顔器を使用する際の注意点をご紹介します。
肌への負担に配慮する
美顔器は本来、肌にとって好ましい目的でおこなうものですが、使用頻度や使用時間を守らないと、かえって負担がかかってしまうことがあります。長時間ケアを続けたり、推奨されている頻度を超えて使用したりすることは肌トラブルの原因となりますので、気をつけましょう。また、ケアの際に力を入れすぎたり、過度な摩擦が加わることも肌に負担をかける原因になるので、正しいやり方でおこなうことが大切です。
痛みや違和感があるときはケアを中止する
お伝えしたように特にイオン導入機能やエレクトロポレーション機能は微弱な電流を用いたケアのため、ケア中に痛みが生じる可能性がゼロではありません。痛みや違和感がある場合は、出力を調節したりケアを中断したりするなど、肌に合わせて対処することが重要です。また、使用後に肌荒れなどの症状が出てしまった場合もいったんケアをやめましょう。もし、症状が強い場合や改善されない場合は、皮膚科に相談することをおすすめします。
決められた化粧水・美容液などを使用する
美顔器のメーカーの中には、特定の化粧水や美容液の使用を推奨しているところがあります。そのような場合は、推奨されたものを使用することをおすすめします。というのも、異なるものを使用することで効果が得られなかったり、肌荒れが起こったりする可能性があるからです。たとえばイオン導入の場合、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの粒子が大きい成分や、イオン化していない成分を含む化粧水などを使用しても、あまり効果を得られませんが、メーカーが推奨する化粧水や美容液は、このような点を考慮して作られています。
また、化粧水などの導入剤選びと電極の使い分けもポイントで、導入する導入剤が酸性なのか、アルカリ性なのかにより、プラスとマイナスのどちらの極性で導入するべきなのかが、変わります。美顔器の効果を最大限に発揮したり、肌トラブルのリスクを減らしたりするためにも、メーカー推奨の化粧品を使用するようにしましょう。
今回は、イオン導入やエレクトロポレーション、超音波導入の特徴や美顔器を使う際の注意点を解説しました。いずれの機能も、化粧水や美容液の成分を肌の奥まで届けられる点が美顔器の大きなメリットですが、大切なことは、『どの機能を使うか』ではなく、『どの成分を肌に届けたいか』です。そのため、「その成分を肌に届けることに適した機能はどれか」を考えてみると、自分に合った美顔器を選びやすくなるでしょう。
また家庭用美顔器は、美容クリニックなどでの施術にくらべると1回あたりの効果は劣りますが、自宅で気軽に取り入れられることができる点は大きな魅力です。スキンケアは継続することが何よりも大切なので、使い方に注意しながら美顔器をスキンケアに取り入れて、ホームケアをより充実させたものにしましょう。
まとめ
- 通常のスキンケアだけでは美容成分は肌の奥に浸透しにくいが、成分と美顔器の機能によっては浸透させることができるため、家庭用美顔器でできる場合もある
- イオン導入は電流を使い、イオン化した美容成分を肌の奥へ届けるためのもの
- エレクトロポレーションは電流で肌に孔を開け、そこから成分を導入するもの
- 超音波導入は肌を振動させ、美容成分を導入するもの
- 美顔器を選ぶ際は自分の目的を整理した上で選ぶことが重要
- 美顔器を使用する際は、美顔器の使用頻度や時間を守ったり正しい使用方法を確認したりして、肌に負担がかからないように気をつけること
- 美顔器の使用中や使用後に痛みや違和感があるときはケアを中止すること
- メーカーが推奨する化粧水・美容液などがある場合はそれを使うほうが安心
<監修>
~プロフィール~
天神下皮フ科形成外科
院長 大澤幸代 先生 (形成外科専門医)
天神下皮フ科形成外科
ご略歴
千葉大学医学部卒
昭和大学形成外科・麻酔科
東京逓信病院形成外科
東大和病院形成外科
東京労災病院形成外科
所属学会・資格
【資格】
医学博士
形成外科専門医
日本形成外科学会 形成外科領域指導医
日本形成外科学会 レーザー分野指導医
日本創傷外科学会専門医
【所属】
日本形成外科学会
日本美容外科学会
日本臨床皮膚科外科学会
日本創傷外科学会
日本頭蓋顎顔面外科学会