2025/10/16

ターンオーバーを整え美肌へ 効果的なスキンケアと美容医療の選択肢

ターンオーバーを整え美肌へ 効果的なスキンケアと美容医療の選択肢

最終更新日 2025/11/05

「最近、肌の調子が悪い・・・」「くすみが気になる・・・」こうしたお悩みの原因は、もしかしたら肌のターンオーバー(生まれ変わりのサイクル)の乱れにあるかもしれません。では、ターンオーバーを整えるためには、特別なケアは必要なのでしょうか。

この記事では、ターンオーバーの基礎知識から、自宅でできる毎日のケア、さらに美容クリニックでの効果的な施術まで、美肌を取り戻すためのヒントを分かりやすく解説します。

肌のターンオーバーとは?

私たちの肌は、毎日生まれ変わりを繰り返しています。この生まれ変わりのサイクルを「ターンオーバー」と呼びます。

ターンオーバーは、肌の一番外側にある「表皮」で起こります。表皮は4つの層で構成されており、最も深い基底層で生まれた新しい細胞は、時間をかけて少しずつ表面へと押し上げられていきます。

ターンオーバー

このプロセスにおいて、各層で細胞は次のように変化します。

  • 基底層(きていそう):新しい肌細胞が生まれます。
  • 有棘層(ゆうきょくそう):生まれたての細胞が成長し、力をつける「準備期間」です。この層で細胞同士がしっかり結びつき、肌の土台を丈夫にします。
  • 顆粒層(かりゅうそう):細胞がさらに平たくなり、角質になるための準備が進みます。肌のバリア機能を作るうえで大切な成分がここで生成されます。
  • 角質層:役目を終えた細胞が、肌の表面を覆う「バリア」となります。外部の刺激から肌を守り、中の水分が逃げないように蓋をする役割を果たします。

そして、最終的に役目を終えた細胞は、古い角質となって自然に剥がれ落ちていきます。このサイクルがスムーズに行われることで、肌は常に健康で美しい状態を保つことができます。

肌のターンオーバーは、健康な若い肌であればおよそ28日前後と言われていますが、年齢とともに少しずつその周期は長くなる傾向があります。実際に、37歳前後の成人を対象とした研究では、ターンオーバーに平均で約36日かかるという結果も報告されています(※)。また目安として、30代で35〜40日、40代で45日、50代では55日以上かかることもあると言われており、加齢や生活習慣、外的要因によりターンオーバーのサイクルが遅くなっていきます。

Maeda K. (2017). New Method of Measurement of Epidermal Turnover in Humans. Cosmetics, 4(4), 47.

なぜターンオーバーは乱れるの?主な原因

肌のターンオーバーは、さまざまな要因によって周期が乱れてしまいます。ここでは、主な要因をご紹介します。

外部からの影響

肌のターンオーバーは、日々の生活で受ける外部からの刺激によって簡単に乱れてしまいます。

  • 紫外線:紫外線は肌細胞にダメージを与え、ターンオーバーのサイクルを遅らせる大きな原因となります。
  • 乾燥:肌が乾燥すると、バリア機能が低下します。これにより、肌を守ろうと未熟な細胞が早く表面に押し出されたり、逆にサイクルが遅れて古い角質が残りやすくなったりします。
  • 摩擦や物理的刺激:洗顔時にゴシゴシ擦ったり、刺激の強いスキンケアアイテムを使い続けたりすると、肌に負担がかかり、ターンオーバーを乱す原因となります。

身体内部からの影響

年齢や体調の変化も、ターンオーバーの乱れに繋がります。

  • 加齢:年齢を重ねると、肌細胞の生成能力が自然と低下し、ターンオーバーの周期が遅くなる傾向があります。
  • 睡眠不足やストレス:睡眠不足や過度なストレスは、肌の再生に必要なホルモン分泌を妨げ、ターンオーバーを遅らせます。

あなたは正常?ターンオーバーの乱れをチェック

以下の項目に当てはまるものがあれば、ターンオーバーが乱れている可能性があります。

  • 肌がくすんで透明感がない
  • 化粧ノリが悪い
  • ニキビや吹き出物ができやすく、治りが遅い
  • シミやそばかすが濃くなってきたように感じる
  • 肌がゴワゴワして硬く感じる、またはカサつきやすい

 

これらの項目に複数当てはまる場合は、ターンオーバーが乱れている可能性が高いです。ターンオーバーを整えるためのケアを試してみましょう。ただし、肌荒れの症状がひどい場合や、改善が見られない場合は、一度、皮膚科で診てもらうことをおすすめします。

自宅でできる!ターンオーバー促進に役立つ5つのケア

スキンケアをする女性

ターンオーバーを促すためには、毎日のスキンケアを見直すことも大切です。クレンジングや洗顔、保湿ケア、紫外線対策まで、以下のポイントを押さえて美しい肌を目指しましょう。

1. 正しい洗顔・クレンジングで肌の土台を整える

メイクや皮脂汚れ、古い角質などを適切に取り除くことはもちろん重要ですが、必要な皮脂や水分を取り除いてしまわないことも、ターンオーバーを整える上で気をつけたいポイントです。肌に負担をかけないよう、次の点に注意しましょう。

  • 肌質に合ったアイテムを選ぶ:洗浄力の強いアイテムは、メイク汚れなどは落としやすいものの、肌に必要な皮脂や水分も取り去ってしまう可能性があります。ご自身の肌質やメイクの濃さに合わせて使い分けをするようにしましょう。
  • こすらず洗う:クレンジングや洗顔の際は、ゴシゴシ擦らず、指の腹で優しく円を描くように広げます。たっぷりの泡で顔を包み込むように洗うことで、肌への摩擦を最小限に抑えられます。
  • ぬるま湯で丁寧に洗い流す:熱すぎるお湯は肌に必要な皮脂まで奪ってしまうため、人肌程度のぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。特に生え際やフェイスラインは泡が残りやすいので、すすぎ残しがないように注意してください。
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「洗顔方法」については以下の記事でご紹介しています。

【こすらない洗顔・基礎編】洗顔で肌が変わるって本当!?「こすらない洗顔」が肌にいい理由
【こすらない洗顔・応用編】「こすらない洗顔」を極める!

 

2. 徹底した保湿ケアでバリア機能をサポートする

肌のターンオーバーが正常に行われるには、肌の水分と油分のバランスが保たれていることが不可欠です。乾燥はバリア機能の低下を招き、ターンオーバーの乱れに直結します。洗顔後はすぐに保湿ケアを行いましょう。肌の潤いを保つセラミド、水分を抱え込むヒアルロン酸など、目的に合わせた成分が含まれたスキンケアアイテムを選ぶのがおすすめです。

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「保湿ケア」については以下の記事でご紹介しています。

乾燥に悩んでいる人へ 保湿の基礎知識とケアのポイント

 

3.ターンオーバーを促進するスキンケアアイテムを取り入れる

毎日のスキンケアにターンオーバーを促す成分をプラスすることで、肌の生まれ変わりをサポートすることができます。

  • レチノール(ビタミンA):肌のターンオーバーを促す作用がある成分です。
  • ビタミンC誘導体:シミの原因となるメラニンの生成を抑えるだけでなく、ターンオーバーの促進を助ける作用も期待できます。
  • AHA・BHA配合のピーリングケア:自宅でできるピーリングケアも有効な手段です。フルーツ酸などのAHAやサリチル酸などのBHAが配合された洗顔料や化粧品を、週1〜2回のペースで取り入れることで、古い角質を穏やかに取り除き、ターンオーバーをサポートすることができます。
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「レチノール」「ビタミンC」「ピーリング」については以下の記事でご紹介しています。

美肌のために詳しく知りたい!「ビタミンA」配合の化粧品について
健康にも美容にも!積極的にとりいれたいビタミンC について
【医師監修】自宅でのピーリングは何を使えばいい?角質ケアの成分を解説!

 

4. 紫外線対策を徹底して肌ダメージを防ぐ

紫外線は、ターンオーバーを乱す大きな要因の一つです。以下の対策を徹底し、季節を問わず肌を紫外線から守りましょう。

  • 日焼け止めを毎日使用する:外出時だけでなく、室内でも窓から紫外線は差し込みます。日焼け止めの使用は毎日の習慣にしましょう。またこまめに塗り直すことも重要です。
  • UV対策グッズも併用する:日傘、帽子、サングラス、UVカット機能付きの衣類などを活用し、肌への紫外線の影響を最小限に抑えることも大切です。
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「日焼け止めの正しい使い方」については以下の記事でご紹介しています。

美肌を目指すなら知っておきたい! 日焼け止めの正しい使いかた・落としかた

 

5. 生活習慣もターンオーバー促進の鍵

肌の健康は、日々の生活習慣にも大きく影響されます。特に以下の習慣を意識することで、内側からもターンオーバーをサポートできます。

  • 食生活:タンパク質、ビタミン(ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど)、亜鉛、食物繊維などをバランス良く摂取しましょう。
  • 睡眠:睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌の細胞の修復や再生に不可欠です。質の良い睡眠を確保することが、ターンオーバーを正常に保つ上で非常に重要です。
  • ストレスケア:ストレスはホルモンバランスを乱し、肌トラブルの原因となります。適度に運動したりリラックスできる時間を作り、心と肌の健康を保ちましょう。

ターンオーバー促進に効果的!美容クリニックでできる施術

自宅でのスキンケアでターンオーバーをサポートすることは大切ですが、美容クリニックでの専門的な施術も選択肢の1つです。ここでは、ターンオーバー促進効果が期待できる施術の一例をご紹介します。

1. ケミカルピーリング

サリチル酸、グリコール酸などの酸を含む薬剤を肌に塗布し、古い角質や毛穴の汚れを取り除く施術です。古い角質が剥がれることで、肌の細胞が刺激され、新しい細胞の生成が促されます。これによりターンオーバーが正常化しやすくなり、ニキビや毛穴の詰まり、くすみなどの肌トラブルが起こりにくくなります。ダウンタイムはほとんどなく、手軽に受けられるのが特徴です。

2. マシンピーリング

水流と吸引の力で毛穴の奥の汚れや古い角質を優しく除去する施術で、同時に美容成分を肌に導入します。古い角質がスムーズに取り除かれることでターンオーバーが整い、肌のざらつきや毛穴の黒ずみ、ごわつきの改善に効果的です。

3. マイクロニードル治療

極細の針で肌に微細な穴を開け、その傷を修復しようとする、肌本来の「創傷治癒」の力を引き出す施術です。この働きによってコラーゲンやエラスチンの生成が促進されるだけでなく、肌のターンオーバーが整い、肌本来の再生力を高めます。ニキビ跡の凹凸や毛穴の開き、小じわの改善に効果が期待できますが、数日間のダウンタイムが生じることがあります。

4. イオン導入・エレクトロポレーション

微弱な電流や電気パルスを使い、美容成分を肌の奥まで浸透させる施術です。肌細胞の活性化が促され、ターンオーバーの正常化をサポートします。乾燥、くすみ、肌荒れ改善に効果的で、ダウンタイムはほぼありません。

5. レーザー・光治療

レーザー・光治療は、特定の波長の光エネルギーを肌に照射し、シミや毛穴の開きなどさまざまな肌悩みを改善する治療法です。この過程で肌の奥に熱や刺激が加わることで、細胞の活性化やコラーゲンの生成が促され、結果としてターンオーバーが促進される効果も期待できます。ピコレーザーやフラクショナルCO2レーザーなど、さまざまな種類があり、治療の目的によって使い分けられています。

このように、美容クリニックにはさまざまな施術があります。セルフケアに比べて高い効果が期待できますが、肌の状態や目的に合わせて適切なものを選ぶことが非常に重要です。そのためにも、診察/カウンセリングの際には、現在の肌の状態や悩みをくわしく伝え、最適な施術を提案してもらいましょう。それを踏まえて、ご自身のライフスタイルや予算に合わせて、無理なく続けられる施術を選ぶことが大切です。さらに施術後は、適切なホームケアと組み合わせることで、より高い効果を持続させることができます。

日々のケアでターンオーバーを整え、美肌へ

今回は、美肌の鍵となるターンオーバーについて詳しく解説しました。ターンオーバーはさまざまな要因で乱れてしまいますが、ふだんのスキンケアや生活習慣を見直すことで改善することもできます。また、美容クリニックの力を借りると、肌の変化をより感じることができるかもしれません。ターンオーバーは日々のケアで確実に変化していきます。まずは洗顔や保湿など、取り入れやすい習慣から見直して、美しい肌への一歩を踏み出しましょう。

まとめ

  • 肌のターンオーバーは約28日周期だが、年齢や生活習慣、外的要因で乱れることがある。
  • 紫外線・乾燥・摩擦・ストレスなどが主な乱れの原因。
  • 正しい洗顔・保湿・成分ケア・紫外線対策が日常ケアの基本。
  • レチノール・ビタミンC・ピーリングアイテムの活用も効果的。
  • 美容クリニックではマシンピーリングやマイクロニードル治療などでケアが可能。
  • 生活習慣の改善も内側からのターンオーバー促進に役立つ。
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