2024/04/15

日焼け止めの2大成分「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」について解説 肌のためには「紫外線吸収剤フリー」を選ぶべき?

日焼け止めの2大成分「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」について解説 肌のためには「紫外線吸収剤フリー」を選ぶべき?

最終更新日 2024/04/15

日焼け止めには紫外線防止剤として「紫外線吸収剤」や「紫外線散乱剤」が配合されていますが、それぞれどんな働きがあるのか、ご存知でしょうか。これらの成分について正しく理解しておくと、自分に合った日焼け止めを選びやすくなります。そこで今回は、日焼け止めの2大成分とも言える「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」について解説します。
 

紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の役割

紫外線吸収剤も紫外線散乱剤も紫外線から肌を守る目的で配合されていますが、その仕組みは異なります。それぞれどんな働きをするものなのかご説明します。
 

紫外線吸収剤

紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して光や熱エネルギーに変換する化学物質です。紫外線を熱などに置き換えることによって肌をダメージから守ります。また紫外線吸収剤は、一般的に白浮きしづらく、高いSPF値・PA値を出すことができ、テクスチャーが良いとされています。
紫外線吸収剤には複数の種類があり、それぞれ吸収する紫外線の波長が異なります。波長の長いUVAを吸収するもの、波長の短いUVBを吸収するもの、どちらも吸収するものに分けられます。代表的な紫外線吸収剤の成分をご紹介します。

  • UVAを吸収する成分:ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなど
  • UVBを吸収する成分:メトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど
  • UVAとUVBの両方を吸収する成分:ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オクトクリレン、オキシベンゾン-3など

 
 
なお、紫外線の種類や肌への影響について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
 

紫外線散乱剤

紫外線散乱剤は、紫外線を物理的に反射または散乱させる小さな粒子で、ミネラルベースの成分です。紫外線を反射させることで肌に到達することを物理的に防ぎ、広範囲の紫外線をブロックする能力があります。また、一般的に紫外線吸収剤と比較すると、肌への負担が少ないと言えます。代表的な紫外線散乱剤の成分をご紹介します。

  • 酸化チタン: UVAとUVBを散乱します。光を屈折させる作用に優れていて、安全性も高いことから多くの日焼け止めに配合されています。ただし、白浮きしやすいという弱点があります。
  • 酸化亜鉛:UVAとUVBを散乱します。酸化チタンに比べると紫外線防御力は劣りますが、透明性が高いため紫外線散乱剤としてよく使われています。
  • 酸化セリウム:幅広い波長の光に効果を発揮し、UVAやUVBだけでなくブルーライトや赤外線を遮光することができます。また、白浮きしにくいという特徴もあります。酸化セリウムは、上記の2つに比べると日焼け止めの成分としての実績は少ないのですが、「次世代の紫外線散乱剤」とも言われ注目されています。

 

紫外線を防ぐ仕組み

 
このように、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤は紫外線をカットするメカニズムが異なります。紫外線吸収剤は紫外線ダメージを化学的にカットするもの、紫外線散乱剤は物理的にカットするものと言えるでしょう。
 

紫外線吸収剤配合の日焼け止めは肌に悪いの?

「紫外線吸収剤は肌に悪い」という情報を見聞きしたことがあるかもしれません。紫外線吸収剤は、熱や光に変換することで紫外線をカットしているため、人によっては化学反応で産生された熱が肌に負担となったり、アレルギー反応や肌荒れなどを引き起こしたりすることがあります。ですから、日焼け止めで肌荒れした経験のある方や敏感肌の方は、紫外線吸収剤が配合されていない日焼け止めを使ったほうが肌に合うかもしれません。
 
けれども、紫外線吸収剤が一概に悪いというわけではありません。現在、日本で使用されている紫外線吸収剤は国内の基準をクリアしていて、一定の安全性が確認されています。そのため、すべての人に肌荒れが起きるわけではありません。また紫外線吸収剤には、紫外線防御効果が高い、肌になじみやすい、白浮きしにくいといった良い面もあります。これまで特に問題なく使っていて、肌荒れなどが起きていないのであれば、紫外線吸収剤が配合されている日焼け止めを使い続けても基本的には問題ないでしょう。
「紫外線吸収剤配合はNG」と考えるのではなく、自分の肌の特徴や状態、使いやすさ、紫外線への効果などを総合的に踏まえて、日焼け止めを使い分けることが大切です。
 

日焼け止めの選び方

日焼け止めを選ぶ際には紫外線吸収剤が配合されているかどうか、という点も一つの基準になりますが、次のような点も考慮するとよいでしょう。

  • 紫外線防御効果:「PA」や「SPF」で確認できます。外出時間や利用シーンに合ったものを選びましょう。
  • UV耐水性:海やプールなどに出かける人は「UV耐水性」が高いものを選ぶとよいでしょう。こちらの記事にUV耐水性について掲載しております。
  • テクスチャー:クリームタイプ、ローションタイプ、ジェルタイプ、スプレータイプなど多様な種類があります。使いやすいものを選びましょう。
  • 肌へのやさしさ:パッケージを確認して「パッチテスト済み」または「アレルギーテスト済み」と記載されたものを選ぶのがおすすめです。ニキビができやすい方は「ノンコメドジェニックテスト済み」かどうかを確認してみてください。ただし、すべての方に対して肌トラブルが起きないことを保証するものではないので、肌が敏感な方は必ず試し塗りをしてから使用しましょう。
  • プラスアルファの効果:ブルーライトカット効果、トーンアップ効果など、プラスアルファの効果が期待できる日焼け止めもたくさんあります。目的に合わせて選ぶとよいでしょう。

 
※顔用日焼け止めの選び方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

日焼け止めを選ぶ女性

日焼け止めを使う際の注意点

日焼け止めを使用する際には次の点に注意しましょう。
 

保湿をしっかりおこなう

特に紫外線吸収剤フリーの日焼け止めは、白浮きしやすい場合があります。肌が乾燥していると、日焼け止めがなじみにくくより白浮きしやすいため、保湿ケアをしっかりするようにしましょう。
 

適量を塗る

日焼け止めの効果を十分に発揮するためには、適量を塗る必要があります。適量の目安は、顔の場合はクリームタイプでパール2個分、液状のタイプで1円玉硬化2枚分です。少なすぎると紫外線防御効果が弱まってしまいますが、逆に多すぎても白浮きの原因になりますので、適量を塗るようにしましょう。
 

こまめに塗り直す

日焼け止めは2~3時間おきに塗り直しましょう。特に汗や皮脂が増える季節は日焼け止めも取れやすくなっているため、数時間おきに塗り直すことが重要です。
 
※日焼け止めの使い方について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
 
今回は紫外線吸収剤と紫外線散乱剤について解説しました。それぞれの特徴を知って、ぜひ自分に合った日焼け止めを見つけてみてくださいね。
 

まとめ

  • 紫外線吸収剤は紫外線を吸収し、光や熱エネルギーに変換して放出する
  • 紫外線吸収剤でUVAを吸収する成分にはジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどが、UVBを吸収する成分にはメトキシケイヒ酸オクチル、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどが、UVAとUVBの両方を吸収する成分にはビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オクトクリレン、オキシベンゾン-3などがある
  • 紫外線散乱剤は紫外線を物理的に反射または散乱させるミネラルベースの成分で、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウムなどがある
  • 必ずしも紫外線吸収剤フリーがよいということではなく、どちらの特性も理解した上で自身の肌状態やシーンに合わせて必要なものを選ぶとよい
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